静音PCのまとめ
PCで音楽をやってる人ならわかると思うが、PCの稼動している時の音って結構大きいのだ。
心理的効果もあって慣れてしまってると、全く気にならないのだが、マイクで録音すると「こんなにうるさかったのかぁ!?」なんて突然気が付いたりするのだ。て事で、PCを静かにさせるためのあれこれを、(まあ大したレベルではないけれど)書いてみようと思う。
ただし、PCの静音化っていうのは、実はすごくディープな世界だからな。あくまで満足に録音ができれば良し、とかどこかで線を引いとかないとはまり込んでも知らんぞ。
あ、それから夏場はエアコンという奴が問題だからな。いくらPCが静かでもエアコンがついてると台無しだ。夏場の録音は事前に十分冷やしておいて、エアコン切ってから一気にやんないとね。自宅で録音するのはだらだらできるのがいい所だけど、残念ながら夏場はだらだらやってると汗もだらだらになっちまうよ。
PCの静音化する場合にいじる所と言えば・・・
まあ、自分の耳で聴いてうるさそうな奴から対処する事になると思うが、一般的にどれか一つやれば満足なレベルになるというものでなく、全体的に対策する必要があるのだ。この辺がやっかいな所ですな。
CPUファン
まずはCPUファン
最近のMBとCPUファンは4Pin仕様というのになっていてCPUの負荷に応じて回転数が制御されるので、CPUを買った時に付いてくるリテールファンでも、昔のようにいつも爆音でブン回っている訳ではない。とは言っても、CPUファンは結構な騒音源で、且つ手を入れるにはやりやすい所なのだ。
PCパーツ店とかにはCPUクーラーで「静音」を謳っているものが大量に並んでいるので、これに交換するのが手っ取り早くて確実。
注意点としては、化け物みたいにでかい奴があるから、自分のPCに装着可能かどうかだけはちゃんと確認しておかないとくやしい思いをする事になるぞ。
ここから更にCPUファンで静音を突き詰めるなら、音の静かなファン単体を捜し求める事になるのだ。
で、私の所ではSNE775G-19DBって言う地味目な奴を使ってるのだが、リテールファンに比べればかなり静か。とは言え、元々付いていたファンではやはり満足行くレベルにならなかったので、ファンは交換した。どういうファンが良いのかはこの後、ケースファンの所で。
電源
それから電源PCケースに最初から付属している電源はかなりひどいものが多い。
音的にもPCの騒音の中では大きい場合が多いので、まずは静音電源と銘打ってPCパーツとして沢山売り場にあるものから適当に選んで交換するのが良いだろう。ただ、CPUファン以上に当たり外れが多いような気がする。 値段もCPUファンよりは高いので何度も買いたくはないから、確実さを求めるなら、静音電源として名の通ったモデルを買っちゃうのがいい。
ただ、結構世代交代が早くて、同じメーカでもモデルが変わると評判が入れ替わっちゃってたりするので、買う前にはWebとかで十分なチェックが必要かも。今まで自分で使ってて満足レベルだったのはHECの425-VD-T(S)とか。ただし、ファン入れ替えたり、かなりいじってたし、今はもう売ってないと思う。今だとSeaSonicのM12とかが評判良いような気がする。情報が古いので消しときます。
で、元がひどいと買ってきて交換するだけでかなり静かになるのだが、そこから更に静音を追求しようとすると、ユニットをばらして内部に手を入れる事になるのだ。ここから先はだんだんやばい世界に近づくので、自信のある人以外はやってはいけない。 保証も効かないし、不測の事故が起こる可能性もある。
しかしそれでもやるというのなら、まずファンガードの撤去からだな。特に吸気側。ファンガードをはずすだけでもユニットはばらす羽目になったりするのでそれなりの自信は必要だ。強引にニッパーでねじ切るとかいうのならいいかも知れんけどね。 で、言っとくが、ファンの吸気側っていうのは羽根が鋭角の角度がついて回転してるから指突っ込んだりするとえらい事になるよ。 ケーブルの取り回しとかも気をつげてくれ。
でもね。ファンガードをはずすのって意外なほど効果があるんだよね。吸気側の鋭角で回っている羽根のぎりぎりの所にファンガードがあると、サイレン効果(?)というかなんというかで妙な風切り音が発生するのだ。
ここから先はより静かなファンに交換するしかないのだが、ユニットの中の話なので、交換してコネクタで繋ぐだけなのか、半田付け作業が必要になるのかはケースバイケース。そもそも、本来の設計を無視して交換するのだから、異常に温度上昇して燃えるとかいう可能性もないわけではない。
私の場合は現在セミファンレスとかいう文句につられてPowerOneValueの安目の電源を買ってはずしたので、即効でファンガード撤去してしばらくして、結局ファン交換までやっちまった。温度的にはやばいかも知れんよ。 温度センサとかを突っ込んで様子を見ながらやるのが吉。
と、ここで最近の情報をアップデート。 サイズの超力というシリーズの評判が良いようなので買ってみた。 確かにすばらしい。今までだと、他の部分の静音化を進めてゆくと、結局電源がネックになって、電源のファンに手を出すというパターンだったのだが、こいつはそのままでも音楽制作用PCとして問題ないレベルに到達できる。 ただし、電源ファンによるエアフローは殆ど期待できないので、筐体内の温度には注意だ。 これも既に販売終了ですね。
正直電源はどんどん世代交代しているので、買う前にネットとかで最新情報をチェックが基本。
ビデオカード
で、ビデオカード音楽やるのにグラフィック性能はいらん。 オンボードVGAを使うのが最良。
どうしてもというなら、ファンなしのビデオカードを選択するべし。 でもまあ、最近のはファンはなくとも巨大なヒートシンクがついてたりする。 まあヒートシンクは音を出さないとは言えだな・・・、ちょっと待ってくれ、巨大なヒートシンクが必要なだけの熱は発生しているのだ。 その熱は筐体内の温度を上げて間接的にCPUファンとかケースファンとかの回転を上げている事になるのかも知れんぞ。
という事でオンボードで充分なんじゃない? オンボードビデオのないマザーの場合はしょうがないのでファンレスのビデオカードで、できるだけスペック低くて熱の少なそうな奴ね。
HDD
次はHDDかな最近のHDDは静かになってきてると思う。
でも、CPUファンとか電源とかの静音化を進めていくとHDDの音がだんだん目立ってくるのだ。
ああ、それから、基本的な事だけど内蔵するHDDは1台で充分じゃない? 増設したければNASを買って他の部屋に置くという方法で。
HDDの静音化対策はざっとこんな感じ
・静音モードの設定
・SmartDriveのような密閉容器に入れる
・固定方法の工夫
静音モード
これは私的にはお勧めの方法。 最近のHDDにはたいてい静音モード(AMM: Acoustic Management Mode) というのがあってそれを設定するとカリカリというシーク音が(個体差はあるとは思うが)劇的に小さくなる。 モードを設定するためのツールは各HDDメーカが配布してたりする。 私が使ってる HGST ならここ。 ちと面倒なのは FDD か CDで起動ディスクを作ってそこからツールを立ち上げなきゃならんこと。 ちなみに静かにする代償として多少HDDのパフォーマンスが落ちる。 まあ、困るほど目だって落ちる訳ではないし、試してみる価値はあるよ。
密閉箱
SmartDriveとか、その類似品のようなHDDを入れる密閉容器はかなり効果的。 突っ込んでしまうとかなり音を抑えられる。 すばらしい。 しかしだ、こういう密閉箱に突っ込むとどうしても温度は上がる。 温度が上がると寿命に悪影響がある。 実は私はかつてSmartDrive愛用者だったんだが、先日SmartDriveの中で一台HDDがお亡くなりになった。 こんな記事とか、あちこちに温度が高いと壊れるぞ、みたいな感じで書かれてるしね。 ところが!!! 今年になってこんな話が!! googleの調査によればHDDの故障と温度は関係ない、とか!?
これはどう考えるべきか・・・悩むね。
5-6度くらいの温度上昇は覚悟しなきゃいけないと思うけど、それで構わなければ入れてしまえ。
固定方法
HDDの振動でケースが共鳴しているような場合はゴムワッシャとかその手の奴を挟むとか振動を抑えるゴムシートみたいなのを貼り付ければ効果はあるだろう。でもまあ極端な場合を除けば、気休め程度かも知れない。ゴム製品とかは安いし試してみるのはいいんじゃない? どうせならこういうのとかもいいかもね。 てか、これなら手作りもできそうだが。
2010年8月
さて、なんて事を言ってる間にSSDという選択肢も現実的になってきつつある。まだコストパフォーマンス的に厳しい所もあるが、時間の問題かも知れない。とにかく静音的には最強の選択肢と言えそうだ。技術の進歩は素晴らしいな。ただ、追加のドライブを入れても静かにはならんので完全リプレイスを狙う事になるが、書き込み回数の寿命とかは気になる所。まあ、お金に余裕があるならそろそろ思い切っていっちゃってもいいかもねえ。
光学ドライブ
これを静かにさせるのはあきらめてもいいんじゃない? あくまで音楽制作用と考えればソフトのインストールとかでしか使わないでしょ。DVDを鑑賞したいとかいうのはナシだ。 なんなら内蔵型はやめて必要な時だけ外付けUSBドライブを繋いだっていいんではないか。
ケースファン
ケースファン・・・
ケースファンはとりあえず静かな奴に交換する。更に筐体内の温度を確認しつつファンコントローラで回転を下げていく。1500rpm以下くらいまで下げられれば、まあ気にならないレベルになるかな。
ファンの種類はいっぱいありすぎて迷うのだが、わかんなければとりあえずXinruilianのX-Fanっていうブランドの奴なら間違いないと思う。(ただし後述のように耐久性には難があるかも知れない)
ここでいわゆる静音ファンについて。
ファンが発する音には風切り音と軸が回転する音(軸音)がある。 世の中では通常動作時の回転数を落として風切り音を抑えたものが静音ファンとして売られているがファンコントローラで回転数を落として使うのが前提であれば、これはあまり意味が無く、軸音が少ない事が重要である。
しかし実際には残念ながら、軸音がどの程度なのかは回して見なければ判らないのが実情である。以下は経験に基づくコメントだが、個体差も大きいと思うのであくまで参考として。
SNE。SNEは高級ファンとして売られているが、今までの経験ではどうも軸音の面でハズレを引く事が多い気がする。 耳につきやすいメカニカルなノイズがしたりする。
Xinruilian X-Fan。軸音は「シュリシュリ」という感じの摩擦音でそれほど目立たない。優秀なファンだと思う。 ただし、長期運用で軸音が目立ち始めるという経験があるので、まあ、1年くらいで見直す必要はあるかも知れない。
Tek-Chain。普通のファンという印象。 それほどひどくもなく、良くもない感じである。
Scythe。使い始めてからそれほど経っていないので、耐久性については良くわからないが、軸音はそれほどなく優秀。
ケース
で、ケース
ケースは一回買っちゃうとなんか買いなおす気にならんので、昔買ったのをずっと使っているのだが、今新規で買うのならAntecのSoloなんだろうな。 私が今使ってるのは安いアルミケースで板がぺらぺら。ちと辛い。
材質は、スチールかアルミかと言えば静音的にはスチールの方が有利。 でも、自分で穴あけたりする事まで考えるならアルミでないとやってられんと言う事も言える。
とりあえずやる事はケースファンの取り付け部のファンガードが、筐体に小穴を並べて開けてるだけのような奴の場合には、もう盛大に切り取って大穴にしてしまうのがお勧め。 アルミの薄目のケースならニッパーだけで食いちぎれない事はない。スチールだとハンドニブラーとか工具が必要だけど。
ハンドニブラー
ファンガードなしでは危険だからどうしても付けたいというのなら、丸い針金で組んだタイプのものをスペーサかましてファンの羽根からちょっと距離を取って付ける。 これだけでもファンの風切り音は変わってくる。
後、ゴムとかスポンジとかのケース内部に貼る防音シートみたいなのが売ってたりするのだが、これは効果ははっきり言って気のせい程度。 少なくとも電源とかCPUファンとか、その他の部分を一通り静音化した後くらいまで行かないと、差がある事すらわからないと思うぞ。 もしやるのなら、大量に買ってきてこれでもかというくらい、はりまくるくらいの気合を入れないとがっかりするぞ。
まとめ
とまあこれくらいを一通り対策すると、「PCで音楽をやる上で」は問題ない程度に静かなPCの出来上がりだ。もちろんまだ無音ではないのだが、ここから先は静音化自体が趣味のレベルなのだ。てゆうか、実際にこのPCの隣でマイクを使ったりすると、窓の外で鳴いてる虫の声とかの方が問題になってくるので、窓の防音とかをどうするか考えた方がいいぞ。ああ、防音室欲しいよね。
こういう猛者もいるが、俺には無理・・・。
そんなこんなで、今どうなっているかの写真を載せてみる