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2024/05/03 (2024年05月 のアーカイブ)

3Dプリンター Creality K1 のルート化とは何なのか?

高速 3D プリンター、Creality K1 を導入して 1 年程使ってきたのですが、最近ファームウェアを最新版にアップデートしました。それで知ったのですが 2023 年末頃に公開されたファームウェアのバージョン V1.3.2.1 以降で公式にルート化ができるようになっていたようです。以前見た時には中身をハックして自己責任でこの辺りをいじっている人はいるようでしたけど、今回は Creality 公式なので安心ですね。

さて、このルート化って何なんでしょうか? というあたりの説明を。


2023 年辺りから高速動作を謳った機種が各メーカーから一斉に発表されているのですが、これらの機種は揃って「Klipper 搭載」が売り文句になっています。Klipper というのは 3D プリンターのファームウェアの事で、これまで 3D プリンター では Marlin と呼ばれるファームウェアが広く使用されていましたが、Klipper はこれを代替するものになります。

https://www.klipper3d.org/

Marlin も Klipper もオープンソースのプロジェクトとして開発が進められています。低価格な家庭用の 3D プリンターが急激に普及したのもこれらのソフトウェアを使用しているからこそなのですが Klipper ではこれまでの一般的な 3D プリンターのハードウェア構成に比べると Raspberry Pi 相当の MCU が追加されてそちらでモーターを直接駆動する MCU の前段でより高度な計算処理を行います。

例えば 3D プリンターを高速動作させると避けられない問題となってくるのが振動が発生する事で、造形物の壁に「リンギング」とか「ゴースト」と呼ばれる壁が波打つ現象が発生しますが Klipper ではあらかじめプリンターの機械的な振動を測定してリンギングを軽減する補正を行う事が可能になります。


さて Klipper はオープンソースの GPL ライセンスで開発されていますので、ソースコードが公開されなくてはならないのですが、ここに少し問題があって Creality K1 は Klipper 採用を謳っているにもかかわらず発売以来、必要な情報が完全に公開されていない、と 3D プリンター界隈では今までツッコミが入っていたわけです。

それがまあ前述のファームウェアのバージョンアップと共に公開されるようになった、と。
また、GitHub 上でも K1_Series_Annex というリポジトリがあり、ここに色々と情報が出てくるようになりました。ここにある 「K1 Series root guide」 という説明の通り、新しいファームウェアを入れると本体の設定メニューに下の写真のように「Root account information」という項目が現れます。

https://github.com/CrealityOfficial/K1_Series_Annex

この設定で Klipper が走っている K1 本体の IP アドレスに対して root 権限で SSH ログインする事ができるようになります。ログインしてみると Klipper の動作設定は

/usr/data/printer_data/config/printer.cfg

にあり、エディタとしては vi が使用可能なようです。

なお、この設定をいじる時にも Warning 画面が表示されますが root 権限でなんでもできてしまいますので使い方を間違えると K1 本体を壊してしまう可能性もある事には注意が必要です。



K1 でいじりたくなる部分については Guilouz さんという方が GitHub 上で便利なヘルパースクリプトを公開されていますのでこれを使用するのが良さそうです。

https://guilouz.github.io/Creality-Helper-Script-Wiki/

ネットワーク経由で Klipper に接続する Web インターフェースとして使用される Fluidd や Mainsail などのインストール等、役に立ちそうなものが一通りメニューで選択するだけで操作できるようになります。


これで何ができるようになるのかというと色々あるのですが、例えば下は インストールした Klipper の Web インターフェースである fluidd を OrcaSlicer の Device タブで表示できるように設定した所です。


Posted by g200kg : 2024/05/03 21:45:23