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2021/03/10
[Windows] マイク配列とは何なのか?
Windows を使っている人ならデバイスの選択とかで一度くらいは見た事があるかも知れない「マイク配列」という単語。これ何ですかね?
デバイスとして選択すれば普通にマイクとして機能するのでついスルーしてしまいがちで、私も「マイク」と「マイク配列」の違いについて真面目に調べたのは割と最近です。
それで「マイク配列」という言葉だと耳慣れないのだけど、実は英文ドキュメントの方だとこれは「マイクアレイ(Mic Array)」になっています。 いや確かに直訳すればそうか、と思うが「マイクアレイ」ならだいたいの想像が付くのだがなあ。
つまり、複数のマイクを並べて信号処理によって指向性を付けたりする奴ですよね。
「マイク配列」という言い方は Windows のドキュメントくらいでしか見ないので何か別のものだと思っていました。そして「マイク配列」の正体についてちゃんと説明されているドキュメントがほとんど見つかりません。日本語なら「マイクアレイ」の方が通じると思うのだけど今更手遅れかなあ。
結論から言えばユーザーから見た場合は「マイク配列」は単にマイクの一種なので違いについて気にする事は基本的にありません。違いがあるとすれば ( Windows の ) マイク配列は、人の声を録る事を主な目的としてチューニングされているので高音質の音楽を録音するような使い方は向いていない、そして専用のドライバー等(専用の設定アプリとか)で特性(指向性とか)の切り替えの機能があるかも知れない、という事くらいです。
「マイク配列」という言葉が Windows のデバイスの設定画面に登場したのは Windows Vista からになります。マイクアレイの信号処理と言うと外部に DSP を持ってそこで処理するというイメージが強いですが、なぜ OS がマイクの構造であるマイクアレイを気にするようになったのかというと、Windows Vista 以降では、マイクアレイに必要な信号処理をメインの CPU がドライバ内で肩代わりできるようになったからです。
Windows Vista がまだ Longhorn と呼ばれていた頃の Microsoft の資料にこんなのを見つけました。なるほどなあ。これが「マイク配列」の正体か。「マイクアレイ」ならこんな謎単語感はなかったのだがな。
https://www.microsoft.com/en-us/research/wp-content/uploads/2016/02/ivantash-twen05009_microphone_array_support_in_windows_longhorn.pdf
ノートPCの内部はマイクを設置する環境としては劣悪ですが、とにかく画面の前にいる人の声を録るという用途であればマイクアレイと信号処理で余計なノイズを軽減できるというわけですね。ノートPCにマイクとおぼしき穴が複数付いている機種がありますがこれは別にステレオマイクというわけではなくてマイクアレイで信号処理を行うためのものです(機種によって例外はあるかも知れません)。
なお、マイクアレイにより指向性を持たせる際には、周波数特性は犠牲になります。対象が人の声だからこそ、その周波数帯に合わせてチューニングされているわけで、ハイファイな録音には向いていない事は知っておいたほうが良いでしょう。
※ ところで、上のデバイス一覧の画像で「マイク配列」として見えている BSWHD06 つてこんな感じのすごく安い Web カメラです。
どう見てもマイクアレイには見えないのだが......
分解してみた。やっぱりマイクひとつじゃねーか。
なぜこれが「マイク配列」扱いなのかは謎です。WebCam デバイスのマイクだと何か事情が違うのか? あるいはディスクリプたのコンフィグレーションが適当なのか?
posted by g200kg : 7:00 AM : PermaLink
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