偏ったDTM用語辞典
Loudness ラウドネス
一般的に人間の感じる「音の大きさ」を指す言葉である。
実際の音である空気の振動の強さに対する単位としては「phon(ホン、フォン)」を用いる。これは音圧の単位「dB SPL」に対して1KHzを基準点として人間が感じる周波数特性を考慮した値となる。即ち1KHzの持続音に対してはdB SPLとphonの値は一致するがそれ以外では人間の聴覚の感度に合わせて補正された値となる。
1.オーディオ機器の一部には「ラウドネス・コントロール」(あるいは単に「ラウドネス」)と呼ばれる機能が付いている場合がある。これは音量が小さい場合に人間の耳には低音と高音が聴こえにくくなるという特性があるため、これを補正するためのものである。通常ボリュームつまみと連動するようになっており、音量を下げるほど低音、高音を増強するという機構になっている。
ただし、実際にはスピーカーや音楽ソース、その他の影響によって耳に届く音量が変わってくるため、この「ラウドネス・コントロール」は正確な補正をするものとは言えず、最近では廃れつつある。
2.近年、人間が感じる音の大きさ「ラウドネス値」をより正確に測定する方法が規格として定められており、これを測定するメーターとして「ラウドネスメーター」がある。放送などでは番組間などの音量差をなくすために、このラウドネスの値を管理する運用基準が定められ、日本では2012年10月より運用が開始されている。
「ラウドネス」の規格としては「ITU-R BS.1770-2」、「EBU-R128」があり、日本では「ARIB 技術基準 T032」として定められている。デジタル信号のラウドネスの単位としてはITU由来の「LKFS」またはEBU由来の「LUFS」が用いられ、規格改定など多少の紆余曲折があったが、現在運用されている改定後の基準ではこの2つの単位は同じものを表す。
最初に策定された改定前の「ITU-R BS.1770」では「LKFS」が用いられていたが長時間の測定方法に若干の問題があり、この穴を埋める形で「EBU R128」が「LUFS」を定め、その後の改定で同じ内容になったと言う経緯がある。
なお、このラウドネス運用に伴い楽曲の制作者側で何らかの対処が必要かどうかについて稀に議論があるが、今のところ放送局側での話であり制作者側としては気にする必要はないという意見が大勢である。