偏ったDTM用語辞典
Phaser フェイザー
音にうねりを加えるエフェクターの一種でフェイズシフターとも呼ばれる。いわゆる「モジュレーション系」、あるいは「空間系」エフェクトに分類され、フランジャーとは近い関係にある。
古い機種ではパラメーターはうねりの速度を調整する Rate (または Speed )1つだけのものもある。これらは概して効果は弱めであったが、後に信号のフィードバックにより効果を強めた機種が現れ、現在では Depth (または Width )によるうねりの幅の調整と Resonance パラメータによってフィードバック量をコントロールしてうねりを強調できるものが一般的となっている。エレクトロハーモニクス社の「 Small Stone 」はスイッチによる2段階切り替えだけであったがレゾナンスパラメータを追加した最初期のモデルで名機とされている。
(フェイザーの例:前半ノーマル⇒後半フェイザー)
フランジャーがディレイ音と原音のミックスにより効果を作り出すのに対し、フェイザーでは位相シフト回路により遅らせた音と原音のミックスで効果を得る。フランジャーよりはおとなしいが同系統の LFO で周波数特性上のディップポイントが移動するフィルター効果となる。
フェイザーは内部構成として位相シフト回路(オールパスフィルタ)を複数段持っているが、この段数によって「4段フェイザー」「6段フェイザー」などと呼ばれる事がある。古くは4段フェイザーが標準的なものであったが新しい機種では12段程度を持つものもある。この段数は全体の位相回転に影響し、周波数特性上のディップポイントの数は段数の1/2となる。即ち古くから使われている4段フェイザーならば2箇所のディップポイントが発生する。
周波数特性的に見れば、ディップポイントの並びがフランジャーがリニア周波数の横軸に対して等間隔で密に並ぶのに対し、フェイザーはディップポイントの数が数点程度であり、並び方は設計によるがリニア周波数軸に対して等間隔ではなく対数周波数軸に対してほぼリニアとなる。