偏ったDTM用語辞典
Flanger フランジャー
エフェクターの一種。 数mSec~10mSec程度の短時間ディレイに LFO で変調をかけ、原音とミックスする事により、うねるような効果を作り出す。いわゆるモジュレーション系、あるいは空間系に分類されるエフェクトである。
元々はテープに録音した音を再生中にテープのリールのふちの部分(フランジ)を手で触る事で回転を微妙に変えて、同じような効果を得ていた。このフランジを手で触る事をフランジングと言い、それをエフェクターとして独立した機器にしたのがフランジャーである。
周波数特性としては櫛の歯状のフィルター(コムフィルター)が周波数方向に LFO 周期で移動するような特性となる。ディストーションのかかった倍音の多い音に対して効果が顕著である。特にギターなどを強く歪ませ、ゆっくりとした周期で深いフランジャーを掛けた音はジェット機の轟音にも似ており「ジェット・サウンド」などと呼ばれる。
典型的なパラメータとしては Rate (または Speed )によるうねりの速度の調整、Depth (または Width )によるうねりの幅の調整、Feedback や Regeneration というような名称の音の癖を強くする(これは出力から入力に信号を戻す事によりフィルター効果にレゾナンスを加えるものである)パラメータが一般的である。ただし、フランジャーの効果の強さとしては Depth よりも Feedback による変化が顕著であるため、Depth が固定で Feedback に対して Depth というような名前が付いている場合もある。更に、フィルター効果を自動的に動かすのではなく固定のポイントで使うための Manual パラメータを持つ場合もある。
代表的なパラメータ | 説明 |
---|---|
Rate レート or Speed スピード | うねりの速さ |
Depth デプス or Width ウィドゥス | うねりの深さ |
Feedback フィードバック or Regeneration リジェネレーション or Resonance レゾナンス or | 効果の癖の強さ |
Manual マニュアル | 効果の基本となる位置 |
(フランジャーの例:前半ノーマル⇒後半フランジャー)
ちなみに他のエフェクターであるコーラスは構成がまったく同じでディレイの時間が違うだけである。また回路構成は違うが似たような効果が得られるエフェクターにフェイザーがある。どちらも周波数特性上に櫛型のディップポイントを作るが、特性的に見ればフェイザーではディップポイントが(段数によるが)数点であるのに対し、フランジャーは等間隔で密に並び、フィードバックを掛ける事によりより癖の強いかかり方となる。