2013/12/26 (2013年12月 のアーカイブ)
コンボリューション実装ガイド
Web Audio API 日本語訳の中に付随文書へのリンクが切れている部分があったので、追加して翻訳しました。http://g200kg.github.io/web-audio-api-ja/convolution.html
「12. コンボリューションによる線形エフェクト」の「実装ガイド」からリンクされている文書で内容は、Web Audio APIを実装している人向けの情報になりますので、Web Audio APIを使う側にはあまり関係ないのですが。なお、文書の内容はWeb Audio APIの本体部分と結構かぶっている部分があったりします。まだワーキングドラフトですので、このあたりを含めて今後整理されていく事になると思います。
ついでに言いますと、ここで解説されているコンボリューション・エンジンの最適化手法は、昔とある会社が特許を取得していると主張していたやり方に相当します。そのあたりの話が結局どうなっているのか確認しようとしたのですが、どうもそのものズバリの特許情報にたどり着けず、なんとなくあやふやな状態です。今までこの関連の特許について実際に問題になったという話も聞かないのですが、気に留めておいた方が良いかも知れません。
"LakeDSP convolution patent" で検索するとこれに関する議論が結構出てきます。2000年前後の話で、順序も良くわかりませんが、現在の状況は
- FFTコンボリューションのレイテンシーを小さくする方法がAESの文書で紹介されている(Gardner)
- LakeDSPがこれの権利持っていると主張した事がある
- その後Lakeの特許をMicrosoftが買ったとか、Dolbyが買ったとかいう話もある(よくわからない)
- 検索してみるとLakeDSPの特許はAES文書の方法をかすっているけどそのものではなさそう
- 特許は米国のみ、EUは却下
Variants on low-latency convolution-smooth updating of filter response using crossfades
で、直接的なゼロレイテンシー手法ではないのだけど、一般的にはFFTコンボリューションでゼロレイテンシーを実現する手段についてはとにかくLakeのパテントがあるという認識が広がっているようです(何か見落としているクレームがあるんだろうか?)。
実装ガイドで解説されているからという事でそのままインプリして後で問題になる、なんていう可能性は、それほど高くはないのかも知れませんがどうも気持ち悪いですね。
後もう一つ、文書の最後からリンクされているchangelogもファイルが足りなかったので追加したのですが、わざわざ翻訳するほどのものでもないので原文のままにしています。
Posted by g200kg : 2013/12/26 22:22:37