偏ったDTM用語辞典
MP3 エムピースリー
「MPEG Audio Layer-3」の略語で、動画圧縮規格の MPEG の一部として定められた音声圧縮方式の名前。PC 用のファイルとしては".mp3"という拡張子で扱われる。 なお動画圧縮の規格として「 MPEG-1 」「 MPEG-2 」があり、「 MPEG-3 」が欠番となっているため誤解されやすいが MP3 は MPEG-3 ではなく、元々「 MPEG-1 」に Layer1 から Layer3 までの音声圧縮方式が含まれていた内の「 MPEG-1 Audio Layer-3 」であり、同じ技術が「 MPEG-2 」でも採用されて「 MPEG Audio Layer-3 」と呼ばれるようになったものである。
MP3 は既に一般的に通用する言葉になってしまい、特に DTM 用語という訳ではない。また MP3 を再生できる携帯音楽プレーヤーが普及した事で、これらの携帯音楽プレーヤーそのものが「 MP3 」と呼ばれるケースもある。
MP3 フォーマット、特にエンコーダーには特許問題があるとされ、ドイツの Fraunhofer 社とフランスの Thomson Multimedia 社が権利を主張していた。このため2000年頃には一時フリーソフトとして配布されていた多くの MP3 エンコーダーソフトが公開停止された。その後、多少の疑義を残しつつも、幾つかのフリープロジェクトは独自の判断により配布を再開しているものもあった。この特許問題を嫌って開発されたのが「Ogg Vorbis」であるが MP3 を置き換えるほどには普及していない。
なおこの特許に関しては、2017年4月に Fraunhofer 社より関連するすべての特許の期限が切れたとの発表があり、既に特許に関する問題は終結している。このニュースが流れた当時「 MP3 は終了した 」と MP3 が使えなくなるかのような意味に取れる文言での言説が一部流れたが、実際には使用の際に特許を気にする必要がなくなったという逆の意味である。
ただし、圧縮率に関して言えば、mp3 は開発されてから既にかなりの年月が経ち、特に技術的に有利な立場にあるわけではない。対抗馬としてはマイクロソフトの WMA、MPEG での音声圧縮の後継規格である AAC などがある。