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DTM / MIDI 用語の意味・解説
偏ったDTM用語辞典
ADT エーディーティー
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テープレコーダーを2台使用したダブリングエフェクトの事。「Artificial Double Tracking」の略語である。
ADT という手法が現れるまでは、厚い音を作る際には実際に複数回の録音を行って重ねる「ダブルトラッキング」という方法が使われていた。ADT はこれと同様の効果を一度の録音から作り出す手法で、複数回の録音を嫌がったビートルズの録音時にアビーロードスタジオで開発されたという逸話がある。
構成としては図のようなものであり、レコーダA側の1番目のヘッドで再生された音をレコーダBで録音/再生し、両者の2番目のヘッドからの再生音をミックスする。レコーダAとBそれぞれの2つのヘッド間の時間差が同じならば両者は同一タイミングの音として出力され、ミックスされる。
ここでレコーダBの回転するテープリールの縁(フランジ)を手で触れて回転にムラを与える事で発生する効果がフランジングであり、現在のエフェクターのフランジャーの元となったものである。
現在では電子的な手段によってこのようなダブリング、フランジャー、コーラスなどの効果を得られるエフェクターは多いが、手動で回転ムラを与えるが故のニュアンスやテープを通る事によるサチュレーション特性なども含めて ADT 特有のものとして評価されており、それを再現する事を目的としたソフトウェアプラグインも存在する。
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