偏ったDTM用語辞典
WDM/KS ダブリュディーエムケイエス
WDM は「ウインドウズ・ドライバー・モデル(Windows Driver Model)」の略、KS は「カーネルストリーミング(Kernel Streaming)」の略で ASIO と同等な低レイテンシーを実現するオーディオデバイスとのインターフェイスの手法の事。単に「カーネルストリーミング」とも呼ばれる。ケークウォーク社のソナーが採用している。
WDM はWindows98 / Windows2000 以降で使われている標準的なデバイスドライバーの構造である。WDM では、デバイスドライバーが階層構造をしており、通常のオーディオドライバーはマイクロソフトが開発するクラスドライバーとカーネルミキサー/オーディオエンジン、およびその下に位置する各オーディオI/Fベンダーが開発するミニポートドライバーからなる。「カーネルストリーミング」とは、このクラスドライバーからカーネルミキサー/オーディオエンジンを通じてミニポートドライバーに繋がるデータの流れを指す。WDM/KS によるオーディオデータの出力では、このクラスドライバーとカーネルミキサー/オーディオエンジンをバイパスした所に直接データを流す。「カーネルストリーミング」自体が新しい手法ではなく、アプリが本来の「カーネルストリーミング」をスキップしてデータを流す事が WDM/KS である。マイクロソフトではこれを「ダイレクト KS (DirectKS)」と呼んでいるようであるが、今の所、この手法は「カーネルストリーミング」、あるいは「 WDM/KS 」という名前で定着している。
なお、WDM/KS はどちらかと言えば裏技的な手法であり(真偽は定かでないがケークウォーク社がこの手法を発見したという話もある)、Windows Vista 以降では OS としてはWASAPIと呼ばれる新しい低レイテンシーなインターフェイスが準備されている。
ASIO に対する優位性としては、オーディオI/Fのハードウェアベンダーが専用のドライバーを準備する必要がない、という所にあるが、今の所音楽制作で使用する事を目的としたオーディオI/Fではほぼ例外なく ASIO ドライバーが供給されているため、絶対的な優位性は発揮されていないのが現状である。また今後はより新しいインターフェースである WASAPI への移行が進み、WDM/KS の重要性は低下してゆくと予想される。