偏ったDTM用語辞典
dBFS ディービーエフエス
デジタル信号の大きさの単位。FSは「フルスケール」の事で、デジタルで表現可能な最大値を指す。デジタルの最大値を0dBFSとして、信号の大きさをdB(デシベル)で表したものである。デジタル機器では0dBFSが表現可能な最大値であり、これを超える信号は全てハードクリップされるため、通常の信号はマイナスの数値で表される。
信号レベルの測り方であるピーク値、RMS値との組み合わせがあるため、厳密にはdBFS(peak)とdBFS(rms)は波形によって異なる値になる。信号がクリップしていないかどうかを見るためにはdBFS(peak)が問題となり、ノイズレベルなどを見るためにはdBFS(rms)が問題となる。
例えば下図のように16ビットのデジタルデータで全てのビットを使った(-32768から+32767までの)振幅のサイン波は 0dBFS(peak)であり、-3dBFS(rms)となる。どちらかと言えば波形のヘッドルームを見るために使われる事が多く、単にdBFSと言う場合はピーク値を表すdBFS(peak)を指すケースが多い。
dBuやdBmなどと異なり電圧、または電力の単位ではないためこれらと直接変換できるものではなく、機器のライン入出力の信号の大きさの表示などで使われる事はないが、デジタル信号をデジタル信号のまま交換する際には問題になる場合がある。
なお、dBFSと電圧(例えばdBu)の関係を表す事には機器を特定しておく必要がある。例えば業務用音響機器のラインレベルは+4dBuである。仮にこれがCDプレーヤーであれば、基準となるCDを再生すれば+4dBuの出力が得られるはずであり、CDの基準レベルである-20dBFSが+4dBuとなる。ただし、機器が異なればこの関係は崩れ、それぞれの機器が想定する基準レベルやヘッドルーム、入出力レベルの仕様に依存する。