偏ったDTM用語辞典
Moog モーグ
現在のシンセサイザーの基盤となるモジュラーシンセサイザーを開発した人の名前。また、そのシンセサイザー自身もモーグと呼ばれる。1964年、ロバート・モーグ博士がモジュラー型のアナログシンセサイザーを発表した。パッチコードで各モジュールを接続し、音を作るものであった。このモジュラーシンセサイザーは「モーグ・モジュラー(Moog Modular)」と呼ばれる。
モーグ博士はシンセサイザーの発明者と説明される事も多いが、シンセサイザーの黎明期にはシンセサイザーを構成する部分的な技術が様々な人によって作られていったため、誰か1人がシンセサイザーという楽器をいきなり発明したとは言えない状況である。ただ、その多くの人の中でもモジュール間のインターフェイスを統一し、鍵盤を持ち、ミュージシャンが楽器として使える製品に仕立てたという功績は突出しており、「シンセサイザーの父」と呼ばれている。
1970年に入ると、あらかじめ各モジュールが接続されたライブ向けの小型シンセサイザー「ミニ・モーグ」が発表され、これも絶大な支持を受ける。
当初 Moog は「ムーグ」と表記されて紹介され、日本でも「ムーグ」の名前が広まったが、後にモーグ博士本人によって「ムーグ」ではなく「モーグ」であると正式に訂正された。 とは言え、「ムーグ」の名前で一度広まってしまったものはそう簡単には修正できず、徐々に「モーグ」が多くなりつつも両方が混在したまま現在に至っている。
会社としての「モーグ」は、1953年に創業した「R.A.Moog Co.」が最初であり1972年に「Moog Music」に社名変更される。しかしその後会社の所有権が変遷を重ねた末に1977年にロバート・モーグ博士自身は会社を離れ「Moog Music」も経営破綻して業務を停止する。
一方モーグ博士は1978年からテルミンなどを商品として持つ別の会社(Big Briar)を立ち上げていたが、2002年に法廷闘争の後「Moog Music」の名前を使用する権利を得て、2代目「Moog Music」社が誕生した。